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被曝線量の定義、吸収線量、等価線量、実効線量

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被曝の度数を表すものに吸収線量、等価線量、実効線量がある。簡単に説明すると吸収線量(Gy)は物理的な測定値で、それから人体の各部位への影響を考慮して等価線量(Sv)を計算し、それらに小数点以下の数字をかけたものを足したものが人体全体への実効線量(Sv)である。

  • 吸収線量(absorbed dose)

放射線が物体に照射されるそのエネルギーの一部は物体に吸収される。その吸収されたエネルギーの量を単位質量(kg)あたりで算出したものが吸収線量であり単位はジュール(J)/kgであるが。放射線量では1グレイ(Gy)=1J/kgと定義しグレイを使う。放射線の種類によりエネルギーの吸収度は異なる[1]。過去にはラド(rad)という単位も使われていた。1Gy=100rad

  • 放射線荷重係数

生命体への放射線の影響を考えるとき、それぞれの放射線の特性により同一の吸収線量でも影響が異なる。影響を同等に評価する為の定数が放射線荷重係数である[1]

放射線荷重係数
放射線の種類 エネルギー範囲 放射線荷重係数
光子 (電磁波)   全エネルギー  1 
電子、μ中間子  全エネルギー  1
中性子  <10keV 5
<100Kev 10
<2MeV 20
<20Mev 5
20Mev< 5
陽子 2Mev< 5
α粒子、核分裂片、重原子核 20
  • 等価線量(equivalent dose)

等価線量とは生命体への放射線の影響度を表す為に吸収線量に放射線荷重係数を乗じたものである。単位はシーベルト(Sv)である[1]レム(rem)もまだ使われている。1rem=0.01Sv

計算式は、以下のとおり
   等価線量=吸収線量×放射線荷重係数
  • 組織荷重係数

また体の組織や臓器により放射線の影響度は異なる。部位毎の異なる放射線の影響度(放射線感受性)の指標となる係数を、組織荷重係数という[1]

組織荷重係数
組織・臓器 組織荷重係数
生殖腺 0.20
赤色骨髄、結腸、肺、胃 0.12
乳房、肝臓、食道、甲状腺、膀胱 0.05
皮膚、骨表面 0.01
残りの組織 0.05
  • 実効線量係数

内部被曝の元になる体内に入ってきた核種からの被曝線量を算出する為の係数である。各放射性元素でもその化学形態で被曝量はことなり、また吸入か経口摂取かの違いでも異なってくる、等で換算係数には大きく幅がある[1]

例) 単位は(mSv/Bq) Bqはベクレル

実効線量係数
核種   換算係数
三重水素 3H 1.8x10-8
ヨウ素 131I 1.1~2.2x10-5
セシウム 137Cs 1.3x10-5~6.7x10-6
プルトニウム 239Pu 9.0x10-6 ~ 3.2x10-2
  • 実効線量(effective dose)

最後に体全体への影響を測る為に各組織や臓器の被曝(等価線量)に組織荷重係数を乗じたものの合計を実効線量という[1]

計算式は、以下のとおり
   実効線量=(等価線量x組織荷重係数)+(等価線量x組織荷重係数)+()+()+()....
ここで注意が必要なのは等価線量も実効線量も同じシーベルト(Sv)の単位で表すが組織荷重係数は小数点以下なので仮に被曝が皮膚のみの等価線量100mSvである場合、実効線量は皮膚の組織荷重係数0.01をかけて1mSvとなる。被曝しきい値などの記述で実効線量と等価線量が併記されている場合はそれぞれどちらの線量を示しているのか確認する必要がある。
  • 預託線量

前者と少し切り口が変わるが、内部被曝分を物理学的半減期と人体の代謝排泄機能を考慮して一生における総被曝量を累計したものが預託線量である。

  1. ^ a b c d e f 日本分析センター 放射線用語の説明 閲覧2011-7-11